2018年にドローンを取り巻く事情が大きく変わる三つのワケ

2016年4月にまとめられた「小型無人機の利活用と技術開発のロードマップ」が「空の産業革命に向けたロードマップ」となり内容が更改されました。その内容を見ると、ドローンの産業活用は確実に進んでいくことは明白です。ドローンを自分の業界に活用するためのヒントが詰まっています。この「ロードマップ」が示すドローンの未来について考察してみます。

時は動いた。ついにドローンが空の産業革命を起こす。

2018年3月29日。「ドローンの歴史が動いた」といえるプレスリリースが発表されました。

それは、「無人航空機(ドローン)の目視外飛行に関する要件」というもの。その中にはどんな内容が含まれているのか?を検証分析してみます。リンク:「無人航空機(ドローン)の目視外飛行に関する要件」

2018年にドローンを取り巻く事情が大きく変わる三つのワケ。
その1 目視外飛行が変わる

国交省、経産省が3月29日に同時発表した「無人航空機(ドローン)の目視外飛行に関する要件」。この発表のもっとも大きなポイントは「補助者なしで無人地域における目視外飛行が可能になる」ということです。

補助者なしで無人地域で目視外飛行ができるとどんなことが可能になるのか?
1 離島、山間部への荷物配送
2 災害時の被災状況の確認調査。行方不明者の捜索
3 長大なインフラ点検
4 河川測量 などがあげられます。

では、それぞれの用途に対して、この法改正がどんなメリットをもたらすのか? 考えてみました。

1 離島・山間部への荷物輸送

これまで、目視外飛行は必ず機体を視認するための補助者あるいは監視者が必須でした。つまり操縦者が見えていなくても、誰かがドローンを目視内または双眼鏡なども含めて、飛行状況を見ている必要がありました。しかし、実際には山間部や離島でのすべての飛行経路上に監視者を配置するのはナンセンスだし、実用性が全くないと言わざるをない状況でした。

しかし、今回の更改により、補助者なしでの飛行が可能になりました。この変更はドローン業界を大きく変えるといって良い内容です。

物資過疎地が消滅する

政府はドローンを使っての物資輸送について最大10km程度の飛行距離を目標にしています。往復にすると約20km。30分飛行できるドローンの場合、平均時速が40kmになればいいワケです。現実的かというと、現存モデルでは厳しいと思います。

そこで、やはり大きなドローン(といっても自重25kg以下。十分に大きいですかね(笑))での業務が考えられています。飛行時間も長く、積載量もそれなりのドローンです。そして実際に、今も日本のどこかで様々ケースを想定して検証テストが行われている!ワケです。
・薬を届ける
・日常物資を届ける
・緊急時に輸血用血液を届ける
・ゴルフ場などでAEDを運ぶ

これらの事例が具体的に動き出すと、これまで陸路で数時間かかっていたような状況でも、数十分という短時間で物資を届けられるようになる可能性があります。実際にはどう変化していくでしょう!?

【ドローンの目視外飛行が可能になった時に訪れる変化】
●山間部などでは道路整備がされておらず、クルマでの移動は時間がかかる場合がありました。空なら最短距離で障害がほとんどない状態で薬、血液、物資などを輸送できます。
●離島の場合でも、定期船などの就航時間に左右された物資輸送が、時間に関係なく可能になります。目視外飛行が補助者なしで可能なら、将来的には夜間飛行も可能になるでしょう(まだクリアしなければならない技術的課題や環境課題はありますが。。)。
●ゴルフ場で心臓発作&心肺停止。人が運ぶよりも、ドローンならカンタンに速く届けられます。救急車到着前に救命措置が可能になります(もちろん、そのための別の環境整備も必要になります。例えば、AEDを使える従業員の配置など。。)。

まだまだ活用方法はあると思います。ですが、物資が届かないことで不便を感じていたり、緊急事態に対応できない状況を補うことができるようになる。ということです。つまり、「物資輸送過疎地」が消滅する。

AFP BBニュースHPより引用

実際にアフリカなどでは、DJIドローンのようなマルチコプタータイプ(3つ以上プロペラがあるドローンをこのように呼びます)ではなく、いわゆる飛行機タイプのドローンで数十キロ先の場所まで、輸血用血液を届けるという活用が始まっています。もしそうなると、日本でも山間部や離島にドローン発着用の場所が設置され、そこに色々なタイプのドローンが離着陸するという時代も来そうですよね。アフリカで出来るんですから、日本でも出来る。あとは法整備と運用者の技術・知識レベルの向上があれば、既存の技術でもそれほど難しくはないです。今後、さらに機体の性能も向上していくでしょうから、事実上運用者の育成が一番の課題になっていくかもしれません。

2 命を救う。災害時の捜索

ドローン空撮。最近、CMやテレビ番組でドローンによる映像を良く見るようになりました。DJI製ドローンがあれば多くの方がそれほど難しくなく、プロレベルの動画を撮れる時代になっています。このドローンによる空撮。言い換えるならフライングカメラによる可能性も、今回の「目視外飛行に関する要件」によって広がります。

欧米ではDJI製ドローンまたは専用ドローンに赤外線カメラを搭載したドローン活用が始まっています。
●消防活動への活用
●インフラ点検(ソーラーパネル、送電線、鉄塔など)
●農業への活用 などがすでに業務として使われています。

この赤外線カメラを災害時の捜索に使えるなら、どんなことが可能になるか?
●温度差を検知する赤外線カメラだからこそ、「人」を見つけられる
人海戦術と並行して赤外線カメラ搭載のドローンを飛ばして、被災者の場所をいち早く見つけられる可能性が。。。
●二次災害が起こりそうな場合も捜索が行える
雪崩や土砂崩れなど二次災害が想定される状況下でも、ドローンなら空から状況を確認できます。その際に通常のカメラだけでなく、赤外線カメラは威力を発揮します。

実際、これまでの「目視外飛行は補助者を要する」という条件下では実質不可能な活用事例です。ですが、それが可能になる。結果、ドローンを「人の命を救う」ために活用できるようになるワケです。

ドローンだからこそのメリット
●ドローンならではの機動性や、ヘリコプターよりも低空で飛行できること。
ヘリコプターで行けない場所、ヘリコプターでは確認できないものを見つけられる
●高解像カメラ+赤外線カメラを搭載したドローンを複数台飛ばせる
ヘリコプターでは互いの影響が大きく、同じ空域に複数のヘリコプターが飛んでいる状況は大きな危険を伴います。しかし、ドローンなら飛行計画さえキッチリ行えば、同時飛行はそれほど困難ではないハズです。DJIの最新ドローンは「高解像カメラ」と「赤外線カメラ」を2台搭載して飛行&空撮できるドローンも出ています。
●墜落したとしても被害が少ない
ドローンが仮に衝突なども含めて墜落したとしても、被害はドローン本体のみ。ヘリコプターならそうはいきませんよね。

実際、災害時に自衛隊の救助活動を撮影していたマスコミのヘリコプターがいて、救助活動にも影響が出たなんて話もありました。ヘリで出来ないことがドローンなら出来るワケです。ヘリコプター、ドローン。それぞれの得意分野を活用することで救助活動の際に切れるカードを多く持てる。ドローン時代以前には不可能だったことが可能になります。そう、ヘリコプター以前の時代が、ヘリコプター以後の時代になったように。。いま、救助活動にヘリコプターは必須のカードですよね? ドローンもそうなる。そう思いませんか?

3 インフラを効率的に管理し、測量への活用の幅が広がる

ドローンの機動力は日進月歩で向上しています。この性能向上に法整備が追いついていませんでした。しかし、2018年度内に予定されている法改正によって、その機動力を活かせる時代がついに到来します。

数ヘクタールもの土地に広がる「インフラ」。あるいは広大な土地の「測量」。これまでは必ず補助者を配置していました。でも効率悪いですよね。人員もいるし、飛行計画も複雑になる。

ですが、補助者なしの目視外飛行が可能なら、効率が圧倒的に上がります。いままでの作業時間が数十%は短縮できるのではないでしょうか? 実際、「テラマッパー」というドローン測量の空撮・画像処理ソフトを使った場合、人による測量に比べて作業時間は5分の1になる。という事例も存在します。
テラマッパー関連記事⇒コチラ

ドローンが人の手足、目となる。それを使うのは人です。その人の能力を向上させる、まさにスーパーマン的ツールとなりえるのが、これからのドローンというワケです。

それもこれも、法整備がドローンの現状を活かす方向性でなされればこそ。安全を社会が容認できる水準に保ちつつ、活用の幅を広げる法整備。そして人材育成がカギになってくると言えるのではないでしょうか?

2018年にドローンを取り巻く事情が大きく変わる三つのワケ。
その2 i-constructionが深化する

世界ランキング2位の日本の重機メーカーコマツ。コマツがDJIと業務提携的な動きをしていることをご存知でしょうか?コマツはDJIから新開発の測量特化ドローンを1000台導入することを決めました。世界を股にかけ事業展開するコマツが、これまたドローン業界のジャイアントDJIとコラボした。これってすごいことです。
重機メーカー世界ナンバー1はアメリカの「キャタピラー社」(CATのロゴ)は、DJIとのコラボをコマツに先を越されたということ。コマツが世界2位といっても、じつは売り上げベースでいうと3分の1程度。DJIとの提携によってi-constructionを加速させ、測量、工事現場での活用に一石を投じたという構図です。業界の勢力図にも大きな影響があるのは間違いないでしょう。

つまり、重機メーカーとして生き残り、未来を創るためにコマツはDJIと協力するという選択をしました。これは測量業界、建設業界では大きな流れを作りだしたと言えると感じています。そう、これらの業界にはドローンは必須のアイテムになっていく。ドローンを使えない業者は淘汰されていく。ドローンを活用できる人材がいる業者だけが大きな仕事を取れる。そんな時代も来るかもしれません。

そして、この活用事例も今回の目視外飛行の要綱が大きな影響を与えます。広大な土地に人を何人も配置して測量するなら、ドローンを使うメリットは半減します。ですが、補助者なしの目視外飛行が可能ならドローンの真価を発揮できるというワケです。

2018年にドローンを取り巻く事情が大きく変わる三つのワケ。
その3 準天頂衛星システム みちびき運用開始

位置情報測位のためには最低4基のGPSの捕捉が必要です。これまではアメリカのGPS、ロシアのGLONASSとの通信によって位置情報を確認していたドローンですが、2018年には日本版GPS「みちびき」が運用されることになっています。

じつはこの「みちびき」がドローンの未来を左右する性能を持っています。

位置情報精度6センチという事実

内閣府宇宙開発戦略事務局HPより引用

内閣府宇宙開発戦略推進事務局のHPより引用

GPS信号を必要数補足していると、理論上の位置情報誤差は1mと言われています。しかし、実際には捕捉数や衛星の位置によって正確な情報を得られず10m程度というのが現状です。日本版GPS「みちびき」は2018年、つまり今年から4基による運用が開始されます。そうなると最低3基は日本上空付近にとどまり、これまでのアメリカのGPS、ロシアのGLONASSとともに位置情報を取得できるので捕捉数は確実に安定することになります。また衛星の位置による誤差も少なくなります。

しかし、これまでのGPS通信では位置情報の精度は上がりません。実はそのためにはあるシステムを使う必要があります。

センチメータ級測位補強サービス

内閣府宇宙開発戦略推進事務局HPより引用

これまでのGPS信号とは違うL6信号を受信することで、最高±6センチの位置情報誤差を実現します。これまでの受信システムではこの信号は捕捉できないので、専用の受信システムを導入する必要があります。現段階ではドローンにこのシステムは搭載されていません。ですが、搭載されれば精度が一気にレベルアップするワケです。近い将来、ドローンにも使われるようになるのは明らかです。政府はこのサービスを使って3~4級の基準点測量や写真測量への利用を検討しています。それだけ精度が向上するということですね。ドローンにも搭載されることで、さらに精度アップしたドローン測量が可能になる。そう思いませんか?
技術実証も近々に開始されるとのことで、正式な運用開始が期待されています。

時は動いた。ついにドローンが空の産業革命を起こす。まとめ

「空の産業革命ロードマップ」を参考にし、3つの角度からドローンの現在と未来を考えてみました。ここからわかることは政府は本気でドローンを産業に使おうとしているということです。それも、人材不足が実際に当面の問題となっていて、より深刻になっていく分野にも力を入れています。3K現場と言われる建設業界や、同じように過酷な環境での作業が考えられる測量。そして後継ぎ問題が深刻を極めている農業分野などです。

ドローンにできること。それは「スーパーマン」になるための目を手に入れることではないでしょうか? 人が歩いて足と手で地道に行っていた作業を数倍の効率で可能にする。この便利さは広がっていくことは間違いないでしょう。

「スーパーマン」になるためには、正しい知識、確かな技術も必要です。とりわけ建物検査やインフラ点検などは対象や環境によってGPS信号を捕捉しずらいことが多々あります。そのためには自らの技量を早い段階から磨いておく必要があります。その方法はとにかく飛ばすこと。いろいろな場面で運用してみることです。今から始めることで、将来の人手不足や法改正に備えることができます。

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